銚子電鉄の閉そく方式について現地確認してきました。
【目 次】
銚子電気鉄道線の閉そく方式について
銚子電鉄は一つの路線で3種類の閉そく方式が施行されている路線です*1。区間は下記の通りです。
- 銚子~仲ノ町間(0.5km):自動閉そく式(特殊)
- 仲ノ町~笠上黒生間(2.2km):票券閉そく式
- 笠上黒生~外川間(3.7km):スタフ閉そく式
閉そく境界となる仲ノ町駅、笠上黒生駅では通票の授受を見ることができます。
仲ノ町駅
仲ノ町駅は銚子~仲ノ町間と仲ノ町~笠上黒生間の閉そく境界駅です。
仲ノ町駅では仲ノ町~笠上黒生駅間の通票を運転士と授受を行います。
外川方
仲ノ町駅の外川方を確認してみます。仲ノ町駅の出発信号機です。
出発信号機には通券・通票を持ったことを運転士に注意を促す看板が取り付けられています。
仲ノ町~笠上黒生駅間の票券閉そくで用いられる通票の種類は第2種の■(ヨンカク)であり、■を示す記号が描かれています。
しばらく待っていると、銚子方から外川行の列車がやってきました。
通票を受け取った列車は進行信号によって仲ノ町駅を出発してゆきます。
信号機を通過後に停止信号現示へ変化し、列車は仲ノ町駅を去っていきました。
銚子方
もう一方の銚子方面です。銚子方への出発信号機が建植されています。柵には外川方と同様に看板が設置されています。
柵付近を拡大します。
仲ノ町~笠上黒生間の通票持ち越し注意の看板です。通票は仲ノ町~笠上黒生間で使用するものですので、外川方から走行してきた列車はこの仲ノ町駅で仲ノ町~笠上黒生間の通票を降ろさなければなりません。過去に持ち越しがあったのでしょうか。
笠上黒生駅
笠上黒生(かさがみくろはえ)駅は票券閉そくと通票閉そくの境界駅です。
外川方
外川行きの列車は銚子方には場内信号機が建植されており、場内信号機の進行信号現示で駅へ進入します。
笠上黒生駅は発条転てつ器で構成する2面2線の対面式ホームの駅です。
笠上黒生駅に到着後、仲ノ町~笠上黒生間の通票と笠上黒生~外川間のスタフを交換します。ホームの外川方にはスタフの確認を促す看板が叢の茂った中に立っています。
仲ノ町~外川駅間のスタフは第三種の▲(サンカク)であり、仲ノ町~笠上黒生間の■と視覚的な違いを持たせているようです。
銚子方
銚子行の列車は笠上黒生駅へ場内信号機で進入します。
笠上黒生駅に到着すると、笠上黒生~外川間のスタフと仲ノ町~笠上黒生間の通票を交換します。
ホーム端の柵には通票・通券確認を促す看板が設置されています。誤って笠上黒生~外川間のスタフと持ち込まないようにでしょう。
笠上黒生駅の銚子方には出発信号機がなく、駅長の出発合図で出発しました。
外川駅
銚子電気鉄道線の終着駅である外川駅で列車は折り返しとなります。
銚子方から走行してきた外川行列車は運転台を交換し、銚子行になります。
運転士は、スタフも持ち運んで逆方向の運転台へ移動します。
持ち運び忘れ防止でしょうか。
外川駅の銚子方ホーム端にはスタフ確認の看板がありました。
なお外川駅にも出発信号機はありません。出発時刻になると列車は出発します。
銚子駅~仲ノ町駅間の場内信号機について
ここからは余談です。
銚子駅と仲ノ町駅の駅間距離はわずかに0.5kmです。駅間距離は駅中心位置間で決まるので、実際の駅構内の両端では駅間距離がより短くなります。
写真のように仲ノ町駅と銚子駅の場内信号機がここまで接近しているので駅構外となる場内信号機間はおよそ100mほどしかないと分かります。
ここまで近いならば一つの大きい駅でも良かったのではないかと思ってしまう具合です。
おわりに
銚子電鉄の各閉そくを確認してきました。
経営が苦しい銚子電鉄ですが、皮肉った製品で活路を見出すなど、奮闘しています。
なかなか行きにくい路線ですが、長く残ってほしいですね。
それでは。
*1:国土交通省鉄道局:鉄道統計年報[令和元年度](12)信号保安設備表