OWON製オシロスコープに電圧レンジ調整がおかしくなってしまったのでチャタリング対策の改造を行いました。
【目 次】
OWON製オシロスコープについて
私が普段電子工作する際の波形観測にはOWON製オシロスコープを使用しています。
購入してから数年使用してきましたが、最近は電圧レンジ変更の挙動がおかしくなってきました。
事象としては非常にゆっくりとツマミを回すと、正常に電圧レンジが変更されますが、
素早く動かすと電圧レンジが目的の値にならずにあらぬ値へ飛んでしまいます。
通常であれば電圧レンジを上げたい場合、1V→2V→5V...というように変化しますが、
当該機は1V→2V→50mV→100mV→100Vと逆に小さくなってしまったり、又は最大レンジに移動したりしてしまいます。
調べてみると、氾濫原様の記事でロータリーエンコーダの不具合とありました。
私が所有しているオシロスコープは形式がSDS6062というタイプになり、氾濫原様の記事内でご紹介されている形式と異なるものですが、おそらく同様の事象であると考えられましたので、改善すべく、改造に着手します。
分解
早速分解してゆきます。
裏面のプラスねじ留めされている箇所を外します。
裏面カバーはツメ留めされています。ツメの箇所は外観で分からないので、無理やりこじ開けていきます。無理な力でやろうとすると、内部の基板や配線を壊しかねないので慎重に開けてゆきます。
慎重にしていたのですが、、
あっ...
やってしまいました...
電源スイッチのプラ部が折れてしまいました。
破損した箇所はばね機構による押しボタンスイッチの頭部で、オシロスコープの電源スイッチになります。
当たり前ですが、分解できるようになっていない機構ですので、このような事象は付き物ですね...
裏面カバーを外す際はこの電源スイッチをON状態(押し込んだ状態)かつスイッチ頭部が外れる方向へカバーを外すと破損は回避できたと思います。
スイッチ頭部が折れてしまいましたが、このオシロスコープの主電源スイッチは別にあり、このスイッチ自体が破損していても常時電源ONの状態であれば使えるので致命的な問題にはならないと思い、このまま作業を続行します...
気を取り直して、裏面カバーを外しました。写真右下の電源コネクタとアース配線を外した状態です。
ロータリーエンコーダが実装されている基板が見えるまで分解を続けます。
写真赤丸のプラスネジを外し、電源基板とプラボックスを外します。いずれもプラスネジを緩めることで外せます。
外した後の写真は以下のようになります。
さらに写真下部に示す金属板を固定しているネジを外します。このネジを外すと本体表面と金属板の分離のほか、液晶パネルも外れます。液晶パネルは金属板と固定されておらず、本体表面とも固定されていないので、無理な力が加わって中央の基板とつなぐフラットケーブルが断線しないように外します。
金属板が外れると、ロータリーエンコーダが実装されている基板が表れます。
金属板側の基板とロータリーエンコーダが実装されている基板間にもフラットケーブルがあり、断線しないように注意して金属板を移動します。
コンデンサの追加
ロータリーエンコーダが実装されている基板が表れました。
今回、改造を施すのはこの3箇所です。右から順に、ch1、ch2、Secのレンジ調整用ロータリーエンコーダが実装されている箇所になります。
改造では0.1uFのコンデンサを追加します。1608サイズのチップコンデンサが最適ですが、手持ちになかったので、2.54mmピッチの積層セラコンで代用します。
はんだ付けした後の写真です。予めリードを短くし、リード先を曲げてはんだ付けしました。
再組み立て・改造結果
コンデンサをはんだ付けたら、再度組み立てます。
裏面カバーを実装する際は、本体のゴム足や、USBコネクタが変形しないように組み立てます。
また、電源コネクタやアース線配線を忘れずに行います。
組み立てを終えて、電源ON。
無事に起動しました。処置した結果は、良好でした。
ツマミを素早く回転しても問題なくレンジ切替が出来ました。
電源スイッチの破損はありましたが、改造は成功です。
しばらくはこれで使えそうです。
それでは。
注:本記事の内容は改造行為となります。改造は自己責任でお願いします。