先日、衣浦臨海鉄道のタブレット閉そくを確認してきました。衣浦臨海鉄道では走行中の列車にタブレットを授ける現代では希少な様子を見ることができます。
【目 次】
衣浦臨海鉄道のタブレット閉そくについて
衣浦臨海鉄道は全線がタブレット閉そく(通票閉そく)を常用閉そく方式として採用する路線で、半田線と碧南線の2路線で施行されています。*1
日本国内に現存する数少ないタブレット閉そくを採用する路線であり、希少鉄道信号設備地図の記載対象としている路線です。
希少鉄道信号設備地図については下記リンクからどうぞ。
衣浦臨海鉄道ではタブレットを収納したキャリアを通過授受のごとく、列車走行中の助士へ手渡します。
東浦駅碧南市行5570列車のタブレット授け
衣浦臨海鉄道では貨物列車の時刻表を公式サイトに掲載しています。
この時刻表で、東浦駅8:47着8:49発の列車(列車番号:5570レ)を狙ってみました。
JR東海道本線大府駅から東浦駅までJR武豊線を走行し、東浦駅でタブレットを受け取って碧南線碧南市駅へ向かう列車です。
東浦駅から碧南市駅へ向かう列車は停止位置が信号扱所と離れており、停車後にタブレットの手渡しを行うと信号てこの操作が遅れるために通過授受のような走行中の手渡しをしています*2。
通過授器はなく、直接当務駅長が操車掛に対して手渡しを行います。
列車到着予定時刻が近づくと、タブレットを持った当務駅長が列車が通過する2番線
に歩いてきます。ホーム線路寄りに立ち、列車の到着を待ちます。
タブレット授けの様子は動画に収めました。授ける直前で機関車に添乗している操車掛が受け取りやすいよう、タブレットを上部へ掲げて渡してゆきました。
停車列車であるとはいえ、走行中の列車にタブレットを授ける様子はさながら往年の通過授受を見ているようで、他では見れない貴重な光景です。
タブレットを受け取った列車は碧南線へ向かう出発信号機手前で停車します。
碧南線は武豊方寄りで写真左方向へ分岐しており、東浦駅の下り出発信号機に隣接して碧南市方面の出発信号機が建植されています。
碧南市駅方面の出発信号機の番線表示標は「碧南出」の記載があり、二位式の信号機となっています。
出発信号機手前で停車した後、碧南市方出発信号機の進行信号の現示して列車は出発してゆきました。
東成岩駅550列車の構内機回し
JR武豊線東成岩駅では半田線が分岐します。半田線は大府方で分岐しており、大府駅より走行してきた列車は機関車の付け替えを必要とします。東成岩駅の武豊方に機回しできる線路が設備されています。
550列車(東成岩駅12:43着、13:03発)について、列車到着から半田埠頭出発までを追跡してみます。
半田線へ向かう出発信号機です。
写真右手の信号機が衣浦臨海鉄道半田線半田埠頭方面の出発信号機、写真左手が武豊線上り出発信号機です。どちらも二位式の信号機です。
続いて、武豊方を確認してみます。
左手の信号機は着発線へ向かうための場内信号機です。3進路用の進路表示機が附属しています。写真右手に建植しているのは武豊線下り出発信号機です。
大府方から走行してきた貨物列車は半田線へ進入する前にこの着発線に進入し、機関車の機回しを行います。
列車到着予定時刻12:43に近づくと、着発線場内信号機が注意信号を現示します。
この時は着発2番線へ進入する表示となりました。
大府方より、列車が到着します。
2番線を通過し、停車することなく着発2番線へ向かいます。
着発2番線に到着後、旅客列車上下1本ずつ通過を待ちます。
通過待ち後、機回しが始まります。着発1番線の出発信号機手前で一旦停止します。
入換標識の開通表示を以て、写真手前の機待線へ移動を開始します。
機待線に到着しました。ここで機関車は進行方向を変えます。
続いて入換標識が着発2番線開通を示します。
機関車が移動を開始し、貨車と連結します。
連結完了後、半田埠頭へ向かう出発予定時刻13:03まで待ちます。
出発予定時刻が近づくと、半田埠頭方面の出発信号機が進行信号を現示します。
信号扱所から当務駅長が半田線のタブレットを手渡すために建屋から出てきます。
出発予定時刻になると550レは半田線出発信号機手前まで移動します。
その後、停車して10秒しないうちに、550列車は半田埠頭方面へ向けて出発してゆきました。
この停車時間でタブレットを受け取ったと思われます。
出発した列車はゆっくりと半田線へ入ってゆきました。
おわりに
雑誌・ネット上で取り上げられたりと趣味的に知名度の高い路線ですが、
現地未調査の路線でして、長らく行く機会を狙っておりましたがようやく行くことが出来ました。
通過授受のような走行中のタブレット授けを現在でも見ることが出来る路線は国内でここだけでしょう。
いつまで見られるか分かりませんが、現代に残る非自動閉そくの路線として長く残ってほしいものです。
それでは。