ちくてつ(筑豊電気鉄道)にはちょっと変わった信号機があるようです。
その一部をご紹介します。
【目 次】
2現示の閉そく信号機
ちくてつの路線は黒崎駅前~筑豊直方間の全線で複線化されている路線です。
閉そく方式は全線で自動閉そく式*1となっています。
複線自動閉そく区間においては駅間に設けられる閉そく信号機は3現示以上(進行(G)、注意(Y)、停止(R))が設けられることが一般的ですが、ちくてつにおいては事情が少し異なっているようで、2現示の閉そく信号機が設けられていました。
2現示の信号機では進行信号と停止信号のみを列車に対して現示します。閉そく信号機の灯器には2現示用のものが使用されています。
注意信号が無いのは路線最高速度が60Km/hのため、不要だからでしょうか?
3現示用の灯器を使用した閉そく信号機
3現示用の灯器を使用し、最上段に蓋をして、2現示化されたものもあります。
中段を進行信号用のG灯にしています。3現示用の信号機では、上からGYRの並びになりますから、注意信号用のY灯をG灯へ変更したということでしょうか。
拡大してみます。少々年季の入った信号機に見えます。
どこかのお下がりでしょうか?
使用した理由が気になります...
3現示用の灯器を使用した中継信号機
2現示の閉そく信号機に従属する中継信号機も2現示の信号機となっていました。
信号灯器は3現示用のものを2現示用にして設置されていました。
中継制限信号の斜め灯が蓋され、中継進行信号と中継停止信号の2現示のみ現示します。
中継進行信号は主となる閉そく信号機が進行信号を現示している時に現示していました。
筑豊中間駅の折り返し設備
黒崎駅前から走行してきた列車のうち、一部の列車はこの筑豊中間駅で折り返します。
筑豊中間駅は折り返し設備が設けられており、本線の信号機は出発信号機・場内信号機となっています。こちらも閉そく信号機同様、2現示の信号機でした。
折り返しには入換信号機を使用して、上下線間に設けられた渡り線を走行し、上り線に入ります。
折り返しの入換作業風景
筑豊中間駅止まりの列車は全ての乗客を降ろした後、入換作業に入ります。
筑豊直方方面の下り出発信号機3Rの下部に設けられた入換信号機11Rが進行信号を現示し、車両の入換が始まります。
車両は入換信号機に従って下り本線を走行してゆきます。
渡り線を過ぎて停車します。上下線間には入換車両の停止位置限界を示す、車両停止標識が見えます。
渡り線のポイントが転換して、上り線への進路が開通します。
入換車両は前照灯が点きました。
写真には写っていませんが、渡り線を走行する進路の入換信号機によって、上下線間を渡ります。
上りホームに到着し、客扱いを開始します。
時間になると上り出発信号機の進行信号に従って出発してゆきました。
楠橋車庫
楠橋駅には車庫が併設されています。楠橋車庫は楠橋駅の黒崎駅前方面寄りに設けられています。
入庫線
上り本線上から分岐して、車庫へ接続されています。
楠橋車庫へは入換信号機11Lを使用して入庫します。
本線から分岐後は、車庫構内へ入線する手前で一旦停止します。
入換信号機の閉そく区間末端を示す車両停止標識と、入庫前の停止を強調する看板がありました。
車庫構内は全て手動でポイント転換する転てつ転換機(ダルマ)でした。
間近に撮れるものがありました。九州鉄道機器というメーカーの製造のようです。
出庫時
構内から出庫する時も入庫時と同様に一旦停止となるよう、強調する看板が設けられています。
そして、出庫側には道路交通用の2灯の信号機が建植されていました。
鉄道用地内に道路交通用の信号機が用いられているのは興味深いです。
撮影中はG灯を常に示していました。他の表示となるのはどのような状況でなるのでしょうか。
続いて本線へ合流する手前に設けられた入換信号機です。
信号機の向きが列車進行方向正面ではなく、かなり角度が付いています。
まとめ
ちくてつの信号設備についてまとめてみました。
複線の閉そく信号機に2現示を使用している点が他の路線と異なりとても興味深いです。
また楠橋車庫の道路用信号機が設置されている理由も気になります。
もし詳細をご存知な方がいらっしゃればお話を伺いたいですね。
それでは。
*1:鉄道統計年報(平成30年度)より閉そく方式:鉄道:鉄道統計年報[平成30年度] - 国土交通省