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鉄道信号・模型などなど趣味活録

A列車で行こう9の閉そく方式

A列車で行こう9の閉そく方式は現実の鉄道とはやや事情が異なるようです。

今回はA列車で行こう9の閉そく方式についてまとめます。

【目 次】

A列車で行こう9の閉そく方式について

A列車で行こう9の閉そく方式は実際の鉄道と異なり、独自の閉そく方式を採用しているようです。今回はA列車で行こう9の閉そく方式についてまとめました。

 

閉そくの基本方式

A列車で行こう9での閉そく方式は線路設備の状況によって変化します。

閉そく方式は駅構内と駅間で大きく2つの方式に分かれています。ここで言う、駅構内とはゲーム上で駅(地上駅、高架駅、操車場、車庫等)と定義される設備のホーム有効長を指します。駅間は駅構内以外の線路、線路敷設モードで敷設された線路全ての区間を指します。

次項でそれぞれの区間における閉そく方式の動作を確認してゆきます。

 

駅構内の閉そく方式

駅構内は先行列車がこの駅構内に進入した場合、続行列車は先行列車が駅構内を抜けるまで進入することができません。

下図に示す図は駅構内の停車中の先行列車により、続行列車が駅構内へ進入できない状況を示したものです。

図1:続行列車が駅手前で停止する状態

駅構内の列車の動きを追跡してみます。先行列車を出発させ、駅構内から出発してゆきます(図2)。

図2:先行列車が出発

先行列車が完全に駅構内から離れると、続行列車が進入可能となり、駅構内へ進入するために加速してゆきます(図3)。

図3:続行列車が駅構内へ進入

これは駅構内の線路を列車が一部でも占有している間は、他の列車の進入を許さないという動作です。駅構内に進入できる編成は連結機能を使用しない場合、1編成のみであり、駅構内は1閉そく区間であることを意味します。そして駅構内の長さはホームの延伸・短縮しない限り変化しないので、固定の閉そく区間であることから、”固定閉そく式”を施行していることになります。

また駅構内に停車中の先行列車が出発し、駅構内の閉そく区間の占有が無くなると自動で続行列車が進入しました。駅長が駅進入許可の指示を続行列車に伝達することなく自動で駅構内へ進入しているので、列車によって閉そくが確保される、自動閉そく式であることも読み取れます。

 

駅間の閉そく方式

駅間は列車が衝突しない極限まで車両間隔を詰めることが可能です。図4は極限まで列車を駅間に詰めた際の図です。編成番号11番を先頭に、17番まで縦列に並んだ状態です。

図4:移動閉そく方式を施行する駅間

駅間で列車が詰まった際、各編成の停止位置は編成長に従って決まり、停止位置は固定ではありません。これは閉そくの概念において、閉そく区間が固定ではないことを意味するので”移動閉そく式”です。列車間の間隔に余裕があると、後続で停車中の列車は再び加速し始めます。各列車間の間隔が安全に走行するに十分な間隔を確保できれば、A列車では車両性能の最高速度で運転されます。これは最も高密度で運転することができる閉そく方式であり、過密輸送をさせたい場合には優れた閉そく方式です。

 

まとめると、A列車の閉そく方式は下図のような構成であります(図5)。

図5:A列車で行こう9の閉そく方式

単線における閉そく方式

これまでの内容は同一運転方向に対する閉そく方式を述べてきました。

A列車で単線路線の線区を作成する場合はどのような閉そく方式でしょうか。

 

単線路線の場合は下り方向(右方向)と上り方向(左方向)の列車が同一の線路を共用して走行します(図6)。

図6:単線区間の例

図の両端の駅は行き違い設備(列車交換設備)を有する駅です。駅間は本線の線路が1線となる単線区間の路線です。単線路線の運行では、上り方向と下り方向の列車が同一の駅間で同時に走行する状況は正面衝突となるため、避けなければなりません。

これを実現するためには2つの駅双方に列車を他方の駅へ出発させたという情報を持たせ、出発済みの場合は逆方向の列車を出せないようにする仕組みが必要です。

現実の鉄道ではある一方向から列車が出発した後、逆方向から列車が出発できないよう、行き違い設備を持つ両方の駅に運転方向てこ*1を設け、駅間で正面衝突しないようにしています。(単線路線の閉そく方式はいくつかあります。)

A列車には駅の停車設定項目に隣接駅の情報を入力をする項目はなく、単線・複線の違いの有無や運転方向の定義といった項目はありません(図7)。

図7:駅の設定項目に隣接駅との関連する項目はない

隣接駅の情報を持たないので、左の駅から右の駅へ向かう列車が駅間を走行中に右の駅から左の駅に向かって逆方向の列車を出発させてしまうことが出来てしまいます。

誤って両方の駅から出発させてしまうと、列車同士が駅間で向かい合ってしまい、

停止してしまいます(図8)。

図8:駅間で停止した上下列車

一度、駅間で向かいあって停止すると、プレイヤーが対応しない限り、列車は動けなくなってしまいます。

この正面衝突を避ける方法は主として下記の2つです。

  1. 駅の停車設定”対向待”という機能を使用する
  2. プレイヤーが列車ダイヤで調整する方法

プレイヤーはこの2つの方法のどちらかを講じることが求められます。

A列車では単線・複線の区別がなく、単線路線における閉そく方式には正面衝突を避ける仕組みが入っておりません。

 

①駅の対向待機能を使用する

1の方法は駅の停車設定方法にある”対向待”という機能を使用する方法です。以下の設定方法と動作を示します。

対向待設定を設定したい編成を選び、動作モードから”対向待”を選択します(図9)。

図9:駅の対向待設定

対向列車が接近しました(図10)。対向列車の停車設定は10分停車です。

図10:対向列車が接近

対向列車が停車して10分後、対向列車が出発します(図11)。

図11:対向列車が出発

しばらくして、対向待設定で停車中の列車が出発してゆきます(図12)。

図12:対向待していた列車が出発
対向待機能の運用上の制約条件

対向待機能を使用するには制約条件が2点あります。

  1. 2番線までの駅でのみ運用できる
  2. 設定した駅は全列車が必ず行き違いするダイヤで組む

項目1について例を示します。複線路線を1・2番線、単線路線を3・4番線とする駅です(図13)。

図13:対向待設定の列車に複線路線の列車が接近

4番線に対向待設定で停車中の列車がいます。この列車は単線の路線を右上方向へ進もうとしています。今、複線路線の左方向へ向かう列車がやってきました。複線路線の列車が発車してゆくと、対向待設定で停車していた列車は別路線にも関わらず出発していまいます(図14)。

図14:対向待設定の列車が発車

この”対向待”の機能は対向列車の到着番線指定が無いので、3番線以上のホームを有する駅では異なる路線の列車に対しても”対向列車が到着した”と判定し、出発を許してしまいます。従って単純な行き違いのみしかない2番線までの駅でのみ使用できる機能であると言えます。

制約2として、対向待を設定した駅は対向列車が到着するまで、停車を続けるので同一方向へ続けて出発させることが出来ず、必ず対向列車が到着するようにダイヤを組む必要があります。

 

以上のように、”対向待”機能では運用上の制約があります。

 

②プレイヤーが列車ダイヤで調整する

対向待機能では運用上の制約条件があると述べました。

より柔軟なダイヤで運用し、かつ駅間の正面衝突を避けるためには単線用の列車ダイヤを組むことです。

プレイヤーは行き違い設備を有する駅で上り方向と下り方向の列車が行き違う時刻を定め、その時間に列車が到着・出発するような停車設定をゲームに入力して単線路線のダイヤを組みます。

私は単線のダイヤを外部アプリ(OuDiaSecond)で作図し、運用しています(図15)。

図15:単線路線ダイヤグラム

ダイヤグラムの作成は単線路線内の行き違い設備を有する駅を把握し、各編成の駅間所要時間を計測してアプリに入力し、作成します。

単線ダイヤは上り列車と下り列車を行き違い設備を有する駅で列車交換を行うことで作成することができます(図16)。

図16:単線ダイヤでの列車行き違い例

図は行き違い可能駅であるB駅で上り列車と下り列車が行き違いを行う場合のダイヤグラムです。上り列車がB駅に先着し、下り列車がB駅に到着するまで待ちます。下り列車が到着後、A~B駅間に列車はいなくなるので、上り列車をA駅に向かって出発させます。

ダイヤグラムの作成を終えたら、駅の動作モード設定に列車の出発時刻を指定して入力します(図17)。

図17:発車時刻の入力例

列車間隔が等間隔なダイヤ(パターンダイヤ)を作成した場合は、発車時刻設定で同一分、数時間間隔で入力し、時間帯で出発時刻が異なる場合は個別発車機能を使用して入力します。

この方法はダイヤグラムの作成し、列車の出発時刻設定を編成ごとにゲームに入力を行うという手間がかかります。しかし、対向待機能であった運用上の制約条件はなく、続行列車や優等列車の運転などの柔軟なダイヤ設定が可能になります。

 

まとめ

A列車で行こう9における閉そく方式は単線・複線の概念がなく、駅間で移動閉そく式、駅構内で固定閉そく式を施行しています。

単線においては移動閉そく方式に従って続行運転が可能であるが、運転方向の固定はなく、行き違い駅の両端からそれぞれ出発できる問題があり、対応策をまとめました。

A列車で行こう9を愛する皆様のお役に立てれば幸いであります。

それでは。

*1:鉄道信号技術:日本鉄道電気技術協会:p.39-41:2020年