今回は車両基地(車庫)を有するレイアウトの電気配線と運転方法について書きたいと思います。
【目 次】
車両基地のあるレイアウト
今回は車両基地を有するレイアウトについて、
本線1線、副本線1線、留置線3線を有する以下のレイアウトを例に運転方法と電気配線について考えてみたいと思います。
本線と副本線間には島式ホームを有する1面2線駅とします。X方とY方はエンドレスループで接続されているものとします。
また、使用する機器やレールは前回記事*1と同様に、Tomix製品を使用して構築するものとします。
(KATOユーザーの読者の方ごめんなさい...)
シーサスクロッシングについて
レイアウトに上のシーサスクロッシング部は市販されているダブルクロスポイントPX280ではなく、線路間に島式ホームが収まる以下の組み合わせとします。
写真は、ポイントレールPR541-15・PL541-15を2本ずつ、クロッシングレールX72.5-30を使用してシーサスクロッシングを組むと、丁度島式ホーム間隔となります。
今回はこのシーサスクロッシングを使用しているものとします。
通電方向(直線方向の場合)
このシーサスクロッシングでは、ポイントの開通方向によって、通電が変わります。
直線方向にポイントが開通している時は下図のように通電します。
通電方向(分岐方向の場合)
他方、分岐方向にポイントが開通した際は、下図にようになります。
ダブルクロスポイントを使用しないこの組み合わせでは、直線方向、分岐方向両方向に対してレールギャップ(電気的絶縁)が無いという特徴を持っています。
Tomixのダブルクロスポイントは直線方向、分岐方向どちらに対しても絶縁があり、電気配線を行う際はこのギャップを意識して配線する必要があります。
運転方法と電気配線方法
このレイアウトにおける運転時の操作としては、
- ①本線(1番線)運転時
- ②副本線(2番線)運転時
- ③車庫線入出区時
の3つに大きく分かれると考えられます。それぞれの運転方法について綴ります。
電気配線について
3つの運転方法を実現し、かつ運転時の操作簡易化を目的とした電気配線にします。
電気配線は以下とします。実際の運転例は後述します。
パワーパックは1台とし、本線・副本線の分岐は電動化して、ポイントコントロールボックスによる制御にします。
車両基地内(留置1番線~3番線)のポイントは手動ポイント(51号・52号)とします。
車庫線内は手動ポイントとする想定です。
また22イ号~22ロ号ポイント間と22イ号ポイント~23ロ号ポイント間にはギャップ(電気的に絶縁)を追加します。必要な理由は後述します。
①本線運転時
今レイアウト上には編成Aを駅構内の本線(1番線)、編成Bを副本線(2番線)に配置されているとします。
1番線に停車中の編成Aを運転する際は、ポイント21号を直進、22・23号を直進とします。
この時のパワーパックの通電およびポイントコントロールボックスの操作方向は以下になります。
本線運転中、副本線(2番線)には編成Bが留置できます。
②副本線運転時
編成Aは1番線、編成Bは2番線に配置されているとします。
副本線(2番線)で運転する際は、ポイント21号・22号を分岐とします。23号は直進・分岐どちらでも構いません。
編成Aを本線(1番線)に留置しつつ、編成Bを運転できます。
③車庫線入出区時
駅構内に留置された車両を車庫へ入区させる運転です。
編成A・Bの列車走行を終えて、新たに編成Cを運転させたいとします。
本線(1番線)の編成Aと入れ替え
本線を走行する編成A、副本線に編成Bがいます。本線・副本線は2編成で全て埋まっているため、編成Cを留置2番線へ一旦配置し、編成Aと入れ替えるとします。
まず編成Aを駅の本線(1番線)に停車させ、留置1番線へ移動させます。
編成Aは本線1番線上に停車していますから、ポイント21号を直進、23号を分岐とします。
ここでシーサスクロッシングに絶縁(ギャップ)が必要な理由が分かります。22イ号ポイント~22ロ号ポイント間に絶縁が無いとポイント22号が分岐方向へ向いている場合、編成Bが動き出します。
これはエンドレスループレイアウトにより、Y方からパワーパックの電気が流れているためです。編成Aの入換運転中に編成Bが動き出し、シーサスクロッシングで衝突する恐れがあり、極めて危険な状態になります。この危険性を排除するため、絶縁を挿入します。
手動ポイントの51号を直進にすると留置1番線への進路となります。
この時の通電状況と車両配置は以下のイメージになります。
編成Aを留置1番線へ入区させた後、編成Cを出区させます。
手動ポイント51・52号を分岐方向へ操作します。
編成Cを本線の1番線へ移動させたら、運転方法①に従って運転を開始します。
副本線(2番線)の編成Bを入区
編成Cを本線の1番線に停車させ、副本線に停車中の編成Bを車両基地へ入区させます。
ポイント21番を分岐方向へ、ポイント22番と23番を直進方向へ切り替えます。
手動ポイント52番を留置3番線へ進入できるよう切り替えます。
シーサスクロッシングに設けた絶縁により、編成Cが走行しないよう防ぎつつ、編成Bを留置3番線へ移動させることが出来ます。
エンドレス路線が長く、補助フィーダーを挿入する場合
本線が長いエンドレスレイアウトでは本線上で1か所給電のみとするとフィーダー供給点から最遠端において電圧降下による速度低下が予想されます。長いエンドレスレイアウトでの1か所給電はシーサスクロッシングに絶縁を挿入したことにより、絶縁通過時に速度差が生じる可能性があります。滑らかな車両走行を求める場合、これは避けたいところです。
この場合は、下図に示す通り補助フィーダーを設けると軽減できます。
補助フィーダーを追加するにはパワーパック出力口に分岐コード*2を追加し、駅間本線上の2か所に給電します。
追記:連動装置を導入する場合
当記事の線形で連動装置を導入した場合の記事を書きました。
良ければご覧ください。(2024年2月18日追記)
おわりに
今回は車庫線を有するレイアウトについて記事にしてみました。
記事内ではパワーパック1台使用の場合のレイアウト例でしたが、
車庫線・本線がさらに増えた場合、電気配線は複雑となり、苦労することになります。
大規模駅になった場合には、ポイント操作の誤操作防止のため、連動装置が欲しくなります。
連動装置を導入した場合も記事でまとめられればと...
それでは。